平凡社新書 2020
『オペラで楽しむヨーロッパ史』
テーマは「歴史とオペラ」。「歴史」を扱ったオペラは、史実が改変されているのが普通です。
そこには何重もの歴史と時代が反映されている。出発点はそこでした。
同じテーマを扱った『オペラでわかるヨーロッパ史』(2015)の延長線上にある一冊ですが、
『オペラでわかる』より1つ1つのテーマが大きく、より歴史の流れを大きく捉えた一冊になっています。
前半3章は、「フランス革命」とそこから始まる19世紀ヨーロッパの激動がテーマ。
「モーツァルトとフランス革命」「ヴェルディとイタリア統一」「ワーグナーとドイツ統一」を
それぞれ章立てて、フランス革命とその後の変動が、三人の作曲家の作品にいかに反映されているかを探ります。
後半3章は、ジャポニスムの流行と《蝶々夫人》、「ジャンヌ・ダルク」というアイコンが時代に応じて
オペラでどう変転したか、シェイクスピア原作のオペラとその時代背景をテーマに、
それぞれの切り口から「オペラと時代」を読み解きます。